ロンダニーニのピエタ

<正面から見たとき> <右斜め横から見たとき>

それぞれの顔の 部分をクリックしてみてください。 拡大写真で表情がよく見えます。


ミラノのスフォルツェスコ城美術館には、ミケランジェロ、最後の作品 『ロンダニーニのピエタ』がある。
88歳(89歳とも)で亡くなるが、死ぬ3日前まで、それも目がほとんど 見えないままで、ノミをふるっていたという。 粗削りで未完のままの作品だけど、それが迫力となって、 見ていると、 胸がしめつけらるようにつらい。

ミケランジェロは生涯で4つのピエタを作っている。 すべてはイタリアにあるが、1番有名なのは、 ヴァチカンにある『ピエタ』。23歳の時に作ったもので、 一躍ミケランジェロの名を世に出した。 他に、フィレンツェのアカデミア美術館の『パレストリーナのピエタ』 同じく、フィレンツエのドゥオーモ美術館の『ドゥオーモのピエタ』 そして、この『ロンダニーニのピエタ』である。
モーゼ像やダビデ像などを作り、画家としても、 システィーナ礼拝堂の天井画や「最後の審判」を描き、 また、建築家としてもヴァチカンのドゥオーモを作ったミケランジェロだけど、 実は、ピエタに始まり、ピエタに終わったのである。

ピエタとは、新約聖書の主題のひとつで、磔(はりつけ)で十字架にかけられた キリストだが、十字架からおろされたキリストをマリアが抱くという場面を あらわしている。 ピエタとは、”嘆き”という意味。
このロンダニーニのピエタは、逆にキリストが老いたマリアを背負っているような 構図になっている。 よーく見ると、見る角度によって、マリアの顔が2つ見える

違った角度から見ても、マリアの悲しい表情がみえるよう、 ミケランジェロは考えたのだろうか? ピエタを題材によく選んで作ったのは、ミケランジェロが 生まれてすぐ里子に出されたという生い立ちなので、 母を慕ってのことという説もある。