今もブドウ畑が残るモンマルトルの丘には、19世紀、多くの芸術家が集まった。 ゴッホ、ピカソ、ユトリロ、ロートレック、数えればきりがないほどの
後世の有名な画家たちが、当時貧乏な時代、 家賃が安く自由な雰囲気のこの場所で、それぞれに絵の技術を磨いていった。 寺院の近くに今も残る、「洗濯船」という名のアパート。
今もアトリエになっているが、ここがピカソのスタート地点となった。 「アビニョンの娘たち」を描きあげ、彼がキュービズムをとりいれるきっかけとなった。
この後、青の時代から、バラ色の時代へと変化していくのである。
アンリー・ルソーやモディリアーニもここの常連。 ユトリロは、アルコール依存症となってからも、 死ぬまでこの地を愛し、モンマルトルの丘の下から、よくサクレクール寺院を描いていたという。
彼の遺体は、そう、サクレクール寺院に安置されている。 ”モンマルトルの丘”絵描きさんの場所。 そんなイメージにぴったりで、今もテルトル広場では、画家の卵が観光客を相手に
似顔絵を描いている。
ここを少し下った所に、ムーランルージュがある。赤い風車という意味だが、実際に赤い風車が屋根についている。
今年公開された、二コールキッドマン主演の映画、『ムーランルージュ』 は、ここを舞台にしたもの。 画家ロートレックは、このダンスホールを好んで描いた。
中でも有名なのは『踊り子』。オルセー美術館に展示されている。
まっ白なモスクが印象的なサクレクール寺院は、ローマ・ビザンチン様式のドームで、高さ80メートル。 1870年、普仏戦争に負け、傷ついた兵士のため、
また、パリコミューン動乱で亡くなった兵士のために、38年もの年月をかけて建てられ、今もその魂を慰めている。モンマルトルとは”殉教者の丘”という意味をもつ。
正面の屋根に見えるのは、ジャンヌ・ダルク像とルイ9世の像。 中は天井が素晴らしい! キリストを描いた大きなモザイク画が迎えてくれる。 世界最大級といわれる鐘もあり、もちろん展望台にも登れる。
そこからのパリ市内の眺めは、一度味わってほしいほどの、 しっとりとした、風格もの。サクレクールの隣には、パリで3番目に古いサン・ピエール教会がある。
(1147年建立)
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